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校長挨拶

純心中学校・純心女子高等学校
校長 佐古 照美
2025(令和7)年度の教育目標を紹介しつつ、校長挨拶とさせていただきます。
今年度の教育目標を次のように設定しました。
令和7年度 教育目標
「 希望する 」
(1)地の塩 世の光
(2)「必要」のために
(3)創立90年…清く、賢く、やさしい女性に
この教育目標は、下記の「地の塩 世の光」(マタイ5章13~16節)という聖書の話を土台としています。
 「あなたがたは地の塩である。だが、塩に塩気がなくなれば、その塩は何によって塩味が付けられよう。もはや、何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけである。
 あなたがたは世の光である。山の上にある町は、隠れることができない。
 また、ともしびをともして升の下に置く者はいない。燭台の上に置く。そうすれば、家の中のものすべてを照らすのである。
 そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。人々が、あなたがたの立派な行いを見て、あなたがたの天の父をあがめるようになるためである。
(マタイ5.13~16)
 2025年、今年は、キリスト教にとって「聖年」にあたります。この聖なる一年には、「罪の赦しと様々な束縛に苦しんでいる人々に解放の機会」が与えられます。英語でHoly Year、Jubilee Yearと言います。この恵みの機会を意識し、「希望は欺かない」とのパウロの絶対的な言葉に挑戦し、学園の中でもこの聖年を生きていければと思っています。
 希望は良いものへの願望と期待として生まれます。前向きな積極的な、将来に向かう動きのある言葉です。ですから、目標も「希望する」と動詞形をとりました。そして、何かに挑戦すれば、その結果を得ることになるのですが、その結果は、次の何かにつながるものを生み出していきます。生徒たちにはその力を期待しています。生徒自身が自分で気付けて、前に進んでいくことができるように関わりたいと思います。
 また、今年度、学園は創立90年を迎えます。これまで、学園目標の「先ず孝行 マリア様 いやなことは私が喜んで」や「神様と人々に喜ばれる人に」という純心を象徴する目標に生かされて歩んで来た学校です。この節目を迎えて、このような学園の根底を流れる純心らしさ(建学の精神、変わらないもの)をあらためて確認し、意識して、実際に生きていきたいと思います。そのために、従来から純心にある言葉の一つ、「清く、賢く、やさしい女性に」を今年度の教育目標の中に掲げました。清さ、賢さ、やさしさこそが、今の時代に必要とされる徳だと思います。
 先ずは、これまでの歩みを心から感謝します。そして、長い歴史の中で積み重ねてきた良き伝統を生きて、それを、時代に合った純心の新しい在り方としていきたいと思います。それが、心を磨き、知性を養い、生きる力を育む「純心スピリット」です。
 また、時間的なつながりとして、創立90年の一年が創立100年に向けての一年目となること、そして、この一年が純心スピリットを育み、生きて、社会につなげていくものとなるように願っています。周りに良い影響を与えていく動きをして参りたいと、誰かの何かの役に立つ「塩」「光」でありたいと思っています。「「次(縦)につなげていくこと」「次(横)につながること」を「希望する」という目標に託しました。
 イエスの言葉:「あなたがたは地の塩、世の光である」を少し深めたいと思います。
 「塩」は3つの役割を持っています。1つ目は調味料、自己主張することなく(目立たない)、料理の味を引き立たせ、おいしいものにします。2つ目、防腐剤、食物を保存するため、衛生を保つために使われます。3つ目、清めのために使われます。
 「光」は闇を照らし、人を導きます。一点の光で道が開け、気付きや警告を与えます。
 イエスが語る「あなたがたは地の塩、世の光である」は、私たちに宣言された言葉であって、命令ではありません。私たちはそのような「地の塩」「世の光」としてあり続けることが大事です。いのちと生活に関わっている塩と光の役割が一人ひとりにあることを意識し、自分を認め、今必要なことを求めていく姿勢を大事にしていきたいと思います。塩という貴重な味を保っていけるように、闇を照らす光という導きを隠してしまわないように、与えられたものを受けとめ、それを生きていくこと、それは、つまり、「(塩である)私がここにいる」を育てていくこと、「(光である)私の良さ」を使っていくことです。
 最後になりますが、今年8月には被爆80年を迎えます。被爆校である純心は世界平和を心から願い、諸活動に取り組み、祈りをささげていく使命のある学校です。微力ながら続けてきた世界平和のために祈りに心を込めたいと思っています。祈りは、「希望は欺かない」とパウロが確信をもった思いと並ぶ、私たちの希望する行為だと思います。
 今年は、キリスト教にとって、古来の伝統に従って25年ごとに宣言される「聖年」であること、被爆80年であること、純心女子学園の創立90年であることという3つの重なりの年です。神様の恵みの中で、様々なことが豊かに動いていく一年でありますように。