校長挨拶
2024(令和6)年度の教育目標を紹介しつつ、校長挨拶とさせていただきます。
今年度の教育目標を次のように設定しました。
令和6年度 教育目標
「 いっしんに 」 一心・一新・一進
(1)識別する
(2)日々新たな気持ちで
(3)90周年に向けて
この教育目標は、下記の「新しいぶどう酒と革袋」(マタイ9章17節)という聖書の話を土台としています。
新しいぶどう酒を古い革袋に入れる者はいない。そんなことをすれば、革袋は破れ、ぶどう酒は流れ出て、革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。そうすれば、両方とも長持ちする。
(マタイ9.17)
学園の理想は「聖母マリア」です。その姿に近づくために、学園標語「先ず孝行 マリア様 いやなことは 私が喜んで」が具体的指針としてあります。また、「神様にも人々にも喜ばれる人に」と「清く 賢く やさしい女性に」という初代校長シスター江角の言葉も、学園の教育方針を表すものとしてあります。
1935年に創立された学園は、今年、創立89周年、来年は節目の90周年を迎えることになります。純心の良き伝統を引き継いでいくことと、新しい時代に向かって、新しく歩みを進めていくことと、この両方を生きる力を、聖書の言葉から得たいと思っています。
そのような中で、今年度の教育目標を「いっしんに」とし、「しん」を心・新・進という意味のある漢字を用い、「心を新たに進む」一年でありたいと思いを込めました。
(1)識別する
聖書が書かれた当時、飲み物は革で作った革袋に入れて持ち運んでいました。新しいぶどう酒とはまだ発酵が続いているぶどう酒のことで、革袋に弾力性がなければ、発酵する力で袋が裂けてしまいます。固くなった古い革袋では耐えられないのです。両方とも長持ちするために、弾力性のある新しい革袋が必要になります。
また、この新しいぶどう酒と革袋の話はマルコ福音書、ルカ福音書にも記されているのですが、ルカ福音書によると、ぶどう酒は古い方が良いらしく、熟成されたおいしさを知っている人は古い方を欲しがるようです。
この聖書の言葉からは、新しい時代には、それまでの古いやり方ではなく、新しい時代に合った発想や方法が必要だ、古いものを思い切って捨てる覚悟と新しいものを受け入れる心構えが必要だと読み取れます。同時に、古いもの(変えないもの)にも深い意味があることと、変えられないものを受け入れる落ち着きと、そういうことを識別していく力についても考えてみるように言われている気がしています。
これからの日々の中で、新しい可能性が見えたり、これまでと異なった価値観にふれることができたりするならば、とても嬉しいことです。私たちはいろんなきっかけの中で自分の身近にいる友人、先生たち、家族をはじめ支えていただいている方々から、新しく生きる力をもらっているのです。
(2)日々新たな気持ちで
4月には様々なことが新しく始まります。入学、進級、新しいクラス、友だち、先生方との出会い、一言で言えば、与えられた新しさ、自分は何もしなくても自分の元に舞い込んで来て、手に入れていく新しさです。でも、これらはしばらく時間が経つと新しくなくなります。そして、それが日常になって来るのです。
そこで、日常を新しくすることで、何度でも生き生きしたいと思います。つまり、やり直しです。日常の中で、気持ちの切り替えと、新しい始まりの意識を持つことが大事になってきます。
新しい一日の始まりである朝、一週間の学校の始まりの月曜日、一ヵ月の始まりの一日といったように、意識(努力)しなくても巡って来るこのような始まりを、何かしら自分で決めて、新しく始めたらいいと思うのですが、いかがでしょう。目標を自分で決めて、あり方を自分で決めて、意味を込めて新しくしていくのです。
「・・・古い人を脱ぎ捨て、心の底から新たにされて、神にかたどって造られた新しい人を身に着け、真理に基づいた正しく清い生活を送るようにしなければなりません。」
イエスの新しさは何度でも赦し、再出発を認めてくれ、そのためにやり直す勇気をくださるという新しさです。そして、何度でもやり直しをしていく自分と同じように、他者を受け入れていくことも心に留めておきたいと思っています。
(3)90周年に向けて
節目は、これまでのこと、これからのことで響き合い、強く、たくましく作り上げていきたいと思います。建学の精神を土台にした純心教育の特徴を活かしつつ、新しい時代に合わせ、協働していくことを目指しながら探究活動は進められ、「他者を理解すること」「隣人愛」を土台としたグローバル教育に力を注いでいきます。学校生活の諸活動を通していろんなことを学びながら、周りの人に喜びをもたらすように努めましょう。
朝のロザリオの祈りで唱えている「平和の祈り」のそれぞれの願いは、生き方としても素敵なものになっています。難しく考えず、目の前にある必要に動ける人になりましょう。
何気ない純心の日常の中で、その節目の「時」を「準備して」待つことで、自分磨きができます。