お知らせ
純心女子高等学校 第70回卒業証書授与式
ご卒業おめでとうございます
「マリア様 いやなことは私がよろこんで」
令和2年2月29日(土)に純心女子高等学校第70回卒業証書授与式が行われました。
卒業する生徒たちは、改めて建学の精神を思い起こし、自らが『純心マッチ』として、他者を思い、奉仕を実践できる女性になることを決意して旅立ちました。純心で培った精神を大切にしながら、これからもご活躍ください。皆さんの歩みが希望に満ちたものとなりますように、お祈り申し上げます。
<送辞>
厳しい冬の寒さの中にも、木々が次第に芽吹き始め、いずれ来るあたたかな春を迎える準備を始めているようです。
この良き日に純心を巣立ってゆかれる三年生の皆様、ご卒業おめでとうございます。昨年、入学したばかりで何も分からなかった私たちを先輩方が頼もしくリードしてくださったこと、私たちを妹のようにかわいがってくださったことなどが、まるで昨日のことのように思われ、先輩方が今日この学園を去ってしまわれることをとても寂しく感じております。
私は生徒会の一員として先輩方とともに活動してきました。先輩方は資料を作成するにあたって、他校の事例を調べて参考資料として掲載したり、結果をわかりやすく円グラフにしたりするなど様々なアイデアを次々に出されていて、私はとても敵わないと思いました。皆の力を集めて作ったそのプリントが完成した時は感動で言葉が出ませんでした。先輩方の熱意をこうして形にできたことがとても嬉しかったのです。先輩方の思いに触れ、私も先輩方のように頑張ろうと、よりいっそう仕事に励むことができました。今、私がこうして生徒会の仕事をしっかりとこなせているのは先輩方が一つ一つ丁寧に教えてくださったおかげです。少しでも学校をよくし、楽しいものにするために先輩方と協力した経験は私にとって何事にも代えがたい大切な思い出です。
今、皆様と過ごした二年間を思い起こしますと、努力を惜しまず何事にも全力で取り組まれていたお姿が目に浮かびます。体育大会のソーラン節で見せてくださった息の合った力強い演技や、衣装と演出に独自の工夫を凝らした仮装行列は今でも心に強く残っています。学園祭でもご自分の持っておられる力を最大限に発揮して活躍され、私たち後輩を導いてくださいました。また、毎日早朝から放課後遅くまで部活動や学習に励んでおられ、最高学年としての自覚を持って努力していらっしゃる先輩のお姿から多くのことを学ばせていただきました。先輩方は常に私たち在校生の憧れであり目標でした。そんな先輩方との思い出を振り返るたび、今訪れている別れというものの寂しさを痛感します。
ところで、卒業生の皆様は純心のどのようなところを素晴らしいと感じておられるでしょうか。私は毎日全員で掃除をするところだと思います。掃除には、単に身の周りを綺麗にするということだけではなく、自分達の使っている場所や物への感謝を忘れないようにするという意義があります。純心はそのような「感謝の心」を大切にする学校だと思います。ローマの哲学者キケロは「感謝の心は最大の美徳のみならず、あらゆる他の美徳の両親なり」という言葉を残しています。感謝の心を持つ人はそれだけで最大の美徳を兼ね備えているが、それだけではなくその他の美徳を生み出し、育てられる器を持つという意味です。先輩方は、これからも家族や友人、仕事をともにする仲間への感謝の心を胸に、より豊かな人生を送ってゆかれることでしょう。
現在、人工知能が発達し、人間の仕事がAIに奪われることなどが話題となっておりますが、人間の営みの全てを人工知能にゆだねることはできません。この社会の中で私たち人間に必要なことは自ら考えて行動する力です。自らの中に知識と知恵を身につけ、人のために行動することが、社会をよりよい方向へと導く鍵となります。また、人工知能には無くて人にあるものとは何でしょうか。それは心です。神様を信じる心、人に感謝をする心は人を人たらしめるものです。どうかその心を大切にして生きていってください。そうすることで人を幸せにできる「喜びの発信者」になってください。私たち在校生も感謝の心を忘れず、先輩方から受け継いだ熱意を持って歩んでいこうと思います。
これから始まる皆様の未来が知恵と感謝の心に支えられた明るいものでありますようお祈りしております。今日のご卒業を在校生一同心よりお祝い申し上げ、これをはなむけの言葉とさせていただきます。
令和2年2月29日 在校生代表
<答辞>
寒さの中にも、生命の芽吹きを感じる春の佳き日となりました。私たち卒業生174名は今日、純心女子高等学校を卒業します。
憧れの制服に身を包み、大きな期待と不安を胸に出席した入学式が、つい昨日のことのように思えます。時の流れは本当に早いもので、この純心女子高校で過ごした3年間は夢のように過ぎ去って行きました。
今年は平成から令和へと元号が変わり、時代の大きな節目を迎えました。地震や津波などの自然災害に見舞われた平成でありましたが、今現在も当時の記憶や、後遺症に苦しむ人々がいたり、復旧作業に追われる日々が続いている状況です。世界に目を向けてみても戦争や紛争、凶悪な事件が後を絶ちません。今日ではグローバル化が進み、多くの情報が瞬時に世界中を飛び交う時代となりました。また、人や物の移動が活発になり、新型肺炎のような感染症もあっという間に範囲が拡大しています。そのような社会に出ていこうとする私たちは、正しい情報とそうでないものを判断する力を持ち、周りに流されず、自分自身の強い意志を持って生きていく必要があります。そして、周りの人々と助け合い、困っている人には手を差しのべる優しさと勇気を持たなければなりません。
令和という元号は「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味があるそうです。思いやりの心を互いに持つことで豊かな文化を育んでいく時代になること、そして、これからの年月は平和な世の中であってほしいと共に祈り、新たなものと変わらない感謝の思いを大切にしながら、価値のある毎日を過ごしていきたいと思います。新しい元号になった今だからこそ、新たに私たち自身が社会を担っていく存在として良い未来を築いていくために、一人ひとりが自立し、周りに必要とされる人間を目指していかなければなりません。
また、昨年はローマ教皇が来日され、被爆地である長崎でも平和に対する思いを発信されました。ローマ教皇の気さくな人柄や、常に「弱者」を思いやる視点に立ち、多様性や寛容性を説く姿勢は世界中の人々に勇気を与えるものでありました。私たちもボランティアを務め、ミサに参加しましたが、言葉の壁を越えて伝わってくる平和への思いに被爆校の生徒としてできることは何か、そして私自身が平和のためにできることは何かを深く考えるきっかけとなりました。
私が高校生活で特に力を入れていたことは部活動です。私は陸上競技部に所属していました。この3年間は決して楽なものではありませんでしたが、共に励まし合い、高め合える仲間と過ごした時間は私にとってかけがえのない宝物となりました。県高校総体で総合三連覇を達成した時の感動は今でも鮮明に覚えています。また国民体育大会で恩師である山本久美子先生の持つ県記録を20年ぶりに更新できたことは、私の競技生活の中で最も印象に残っています。意見がぶつかったり迷惑をかけたことも沢山ありましたが、どんな時でも信じてくださった先生、良い時もそうでない時も、寄り添って一緒に頑張ってくれた仲間がいたからこそ、目標に向かって努力をし続けることができたと思います。また、家族のサポートは何よりも私の力になりました。試合の前には応援の言葉をかけてくださった先生方や、試合でいない間の授業の内容を丁寧に教えてくれたクラスメイトにもとても感謝しています。私はこれからも競技を続け、日本代表になり世界で戦える選手になりたいと思っています。困難なこともこの3年間での経験を活かして乗り越え、今まで支えてくださった方々へ結果で恩返しができるよう精一杯頑張ります。
最後になりましたが、174名全員で卒業の日を迎えることができたのは、熱心に御指導いただいた先生方のおかげです。授業だけでなく、個別指導や進路相談にも丁寧に対応してくださった先生方のおかげで、学習面に加え精神面でも成長することができました。本当にありがとうございました。そして18年間温かく見守ってくれた両親には一言では言い表すことができないほどの感謝の気持ちで一杯です。
私たちは今日、純心女子高校を卒業し、それぞれの道を歩き始めます。純心女子高校の卒業生である誇りを胸に、今までの御恩を皆様にお返しできるよう努めて参りますことをお約束申し上げ、答辞とさせていただきます。
令和2年2月29日 純心女子高等学校第70回卒業生代表